tkinterとmatplotlibとpython-controllを使って、PID制御の各パラメータに対応したスライダーを動かすと、リアルタイムでグラフが変化するアプリを作る
※2020/01/19追記:PID制御の説明とpythonでの書き方は以下記事に追加したのでご覧ください。
1. 誰に向けた記事か
・tkinterでどんなアプリが作れるのか興味がある人
・PID制御の各パラメータがどんな影響を与えるのか直感的に理解できるアプリがあったらいいなと思ってた人
2. はじめに
これまでmatplotlibとtkinterを使って、tkinterで作ったウインド上にグラフを載せたり、アニメーションを作成する方法を紹介しました。
今回は応用編として、PID制御を題材に冒頭で紹介したアプリを作成します。
3. コード・実行結果
3.1 コード
import tkinter as tk import tkinter.ttk as ttk import matplotlib.pyplot as plt from matplotlib.backends.backend_tkagg import ( FigureCanvasTkAgg, NavigationToolbar2Tk) import numpy as np from control.matlab import * root = tk.Tk()#ウインドの作成 root.title("pid soft")#ウインドのタイトル root.geometry("650x350") #ウインドの大きさ frame_1 = tk.LabelFrame(root,labelanchor="nw",text="グラフ",foreground="green") frame_1.grid(row=0, column=0) frame_2 = tk.LabelFrame(root,labelanchor="nw",text="パラメータ",foreground="green") frame_2.grid(row=0, column=1, sticky="nwse") #スケールバーが動いたらその値を読み取りグラフを更新する def graph(*args): ax.cla() Kp=scale_var.get() Ti=scale_var_Ti.get() Td=scale_var_Td.get() value_Kp=f"{Kp:.2f}" value_Ti=f"{Ti:.2f}" value_Td=f"{Td:.2f}"
text_display.set(str(value_Kp))
text_display_Ti.set(str(value_Ti))
text_display_Td.set(str(value_Td)) num=[Td,1,1/Ti] den=[1,0] G_ID=tf(num,den) G_all=feedback(G_ID*Kp*G,1) (y_s,t_s)=step(G_all,T=np.arange(0,10,0.01)) (y_in,t_in)=step(1,T=np.arange(0,10,0.01)) ax.set_xlabel('t / s') ax.set_ylabel('y') plt.style.use('ggplot') ax.plot(t_s,y_s) ax.plot(t_in,y_in,linestyle="dashed") ax.set_title('Kp='+str(value_Kp)+',Ti='+str(value_Ti)+',Td='+str(value_Td)) canvas.draw() #伝達関数の設定 #PID制御のパラメータ Kp=30 #比例ゲイン Ti=1.8 #積分ゲイン Td=0.2 #微分ゲイン num=[Td,1,1/Ti] den=[1,0] G_ID=tf(num,den) #伝達関数の設定 num = [0.1] den = [0.1, 1.0, 1] G = tf(num, den) G_all=feedback(G_ID*Kp*G,1) #ステップ応答 (y_s,t_s)=step(G_all,T=np.arange(0,10,0.01)) (y_in,t_in)=step(1,T=np.arange(0,10,0.01)) #グラフの設定 fig=plt.Figure() ax = fig.add_subplot(111) ax.plot(t_s,y_s) ax.plot(t_in,y_in,linestyle="dashed") ax.set_title('Kp='+str(Kp)+',Ti='+str(Ti)+',Td='+str(Td)) ax.set_xlabel('t / s') ax.set_ylabel('y') plt.style.use('ggplot') #tkinterのウインド上部にグラフを表示する canvas = FigureCanvasTkAgg(fig, master=frame_1) canvas.draw() canvas.get_tk_widget().pack(side=tk.TOP, fill=tk.BOTH, expand=1) #比例ゲインのスケール作成 scale_var=tk.DoubleVar() scale_var.set(Kp) scale_var.trace("w",graph) scale=ttk.Scale(frame_2,from_=0,to=30,length=150,orient="h",variable=scale_var) scale.grid(row=1,column=0) #比例ゲインのテキスト text=tk.Label(frame_2,text="比例ゲイン:Kp") text.grid(row=0,column=0) #比例ゲインの数値表示テキスト text_display=tk.StringVar() text_display.set(str(Kp)) label=tk.Label(frame_2,textvariable=text_display) label.grid(row=1,column=1) #積分ゲインのスケール作成 scale_var_Ti=tk.DoubleVar() scale_var_Ti.set(Ti) scale_var_Ti.trace("w",graph) scale_Ti=ttk.Scale(frame_2,from_=0.01,to=3,length=150,orient="h",variable=scale_var_Ti) scale_Ti.grid(row=3,column=0) #積分ゲインのテキスト text_ti=tk.Label(frame_2,text="積分ゲイン:Ti") text_ti.grid(row=2,column=0) #積分ゲインの数値表示テキスト text_display_Ti=tk.StringVar() text_display_Ti.set(str(Ti)) label_Ti=tk.Label(frame_2,textvariable=text_display_Ti) label_Ti.grid(row=3,column=1) #微分ゲインのスケール作成 scale_var_Td=tk.DoubleVar() scale_var_Td.set(Td) scale_var_Td.trace("w",graph) scale_Td=ttk.Scale(frame_2,from_=0,to=1.0,length=150,orient="h",variable=scale_var_Td) scale_Td.grid(row=5,column=0) #微分ゲインのテキスト text_td=tk.Label(frame_2,text="微分ゲイン:Td") text_td.grid(row=4,column=0) #微分ゲインの数値表示テキスト text_display_Td=tk.StringVar() text_display_Td.set(str(Td)) label_Td=tk.Label(frame_2,textvariable=text_display_Td) label_Td.grid(row=5,column=1) root.mainloop()
3.2 実行結果
実行すると以下のアプリが表示されます。
右側のパラメータ欄にある各スライダーを操作するとグラフがその都度更新されます。
ぜひコードをコピペして自分のPCで遊んでみて下さい。
※注意:python-controlはデフォルトで入ってないので、自分でpipを用いてインストールする必要があります。
もしAnacondaを使ってる方はwindowsのスタートメニューから以下のAnaconda Promptを開いてください。
そこで以下のように「pip install control」と打ち込んでください
そうするとpython-controlが使えるようになります。
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8.
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4. 説明
※仕事が忙しくなったので土日に更新するよう頑張ります。
※2020/01/19追記:PID制御の説明とpythonでの書き方は以下記事に追加したのでご覧ください。
スライダーの動きと関数(何かしらの動作、今回はグラフを更新する動作)を紐づける方法は過去記事で紹介していますが、本記事でも簡単に紹介したいと思います。
4.1 スケールバーの説明
import tkinter as tk import tkinter.ttk as ttk root=tk.Tk() #スケールバーを動かしたときに呼び出される関数 def text_change(*args): text_display.set(str(scale_var.get())) #数字用ラベル text_display=tk.StringVar() text_display.set("0") label=tk.Label(textvariable=text_display) label.pack() #スケールバー scale_var=tk.IntVar() scale_var.set(0) scale_var.trace("w",text_change) scale=ttk.Scale(root,from_=0,to=100,length=100,orient="h",variable=scale_var) scale.pack() root.mainloop()
上記は説明用に作ったコードです。次のような動きをします。
まずスケールバーは以下のコードになります。
#スケールバー scale_var=tk.IntVar() #IntVar()だと整数表示 scale_var.set(0) #スケールバーの初期値 scale_var.trace("w",text_change) #スケールバーを動かしたときに呼び出す関数 scale=ttk.Scale(root,from_=0,to=100,length=100,orient="h",variable=scale_var)
#スケールバーの作成。0~100を100刻みなので1目盛りは1。orient='h'は横向き. scale.pack() #スケールバーの配置
ここで、
scale_var.trace("w",text_change)
で呼び出される関数は以下になります。スケールバーを動かすと、スケールバーの位置に対応した数字を読み取り、事前に作成した数字用ラベルに代入しています。
#スケールバーを動かしたときに呼び出される関数 def text_change(*args): text_display.set(str(scale_var.get()))
#数字用ラベルの値をスケールバーの値に更新
上記コードではラベルの値を変更しているだけですが、この関数部分に、
1. スケールバーを動かしたときにその値を読み取り
Kp=scale_var.get() Ti=scale_var_Ti.get() Td=scale_var_Td.get()
2. 読み取った値でPID制御の伝達関数を再計算し
num=[Td,1,1/Ti] den=[1,0] G_ID=tf(num,den) G_all=feedback(G_ID*Kp*G,1) (y_s,t_s)=step(G_all,T=np.arange(0,10,0.01)) (y_in,t_in)=step(1,T=np.arange(0,10,0.01))
3. グラフを更新
ax.set_xlabel('t / s') ax.set_ylabel('y') plt.style.use('ggplot') ax.plot(t_s,y_s) ax.plot(t_in,y_in,linestyle="dashed") ax.set_title('Kp='+str(value_Kp)+',Ti='+str(value_Ti)+',Td='+str(value_Td)) canvas.draw()
するコードを書けば良いことになります。
5. 最後に
いかがだったでしょうか。何かを設計する時に「このパラメータを動かしたらどういう挙動を示すんだろう」と思う時があります。そんな時に便利な方法ですね。
20/01/20追記:Part2を書きました。