柄付きタイツの作り方とマテリアルノードの考え方を1から紹介します
上画像は作ったタイツをローポリモデルに履かせた画像です。網目の大きさや濃さなどを疑似的に変えることができます。このノードはEeveeでもCyclesでも使えます。
1. はじめに
前回テクスチャペイントのマスク機能を用いてスタンプのようにモデルに柄を付ける方法を紹介しました。その際、作例として紹介したタイツの作り方を記事にしました。
テクスチャペイントのマスク機能については以下記事をご覧ください。
2. モデリングの説明
2.1 ローポリの足のモデルを用意する
まずタイツを履かせる足のモデルを用意します。できればローポリが良いです。スカルプトで作ったハイポリモデルしかない場合はシュリンクラップなどを使ってリトポロジーをしてローポリモデルを複製してください。
もし足の作り方が分からない場合は以下の本を読むと作れますので参考にしてください。
2.2 タイツの原型になるモデルを作る
①太もも~つま先までの頂点を全て選択してShift+Dで複製します。位置は動かさないでください。(下記画像は説明のためにわざと動かしています)
②次に全ての頂点を選択した状態で、Sキーを押し、さらにShift+Zキーを押してXY平面のみに少し膨張させます。元の足がすっぽり収まるくらいに膨張させます。
③モディファイアタブから「サブディビジョンサーフェス」と「シュリンクラップ」を適用します。ミラーは任意です、私は片足作ってもう片足はミラーで複製しています。
シュリンクラップの「ターゲット」に素足のオブジェクトを設定(下の画像だとCube007)、オフセットを大体~0.005mくらいにしておきます。この状態だと足の隙間がくっついてしまっているので編集が必要です。また足と区別しやすくするために適当なマテリアルを設定しておきましょう。
④編集モードで頂点を移動させ、くっついている部分や地肌が見えてしまっている部分を修正します。シュリンクラップを適用しているので気楽に修正してください。またタイツの最上部は揃ってないとおかしいので、最上部の頂点を全て選択した状態でSキー+Zキー+0キーを押して高さを揃えます。これでモデルは完成です。
2.3 UV展開をする
模様を付けるにはUV展開が必要なので行います。もしUVを綺麗に展開できるならそれにこしたことは無いので余裕のある方はチャレンジしてみて下さい。今回は裏面の一辺にシームをマークしてUV展開しました。
3. マテリアルノードの説明
3.1 マテリアルノードを開く
まずマテリアルノードの開き方ですが、下の画像の赤枠をクリックするとシェーダー画面に行けます。または水色枠のプルダウンからシェーダノードを選択してもどちらもOKです。
新規マテリアルを作成し、元々あったプリンシプルBSDFは使わないので消して構いまん。
3.2 標準アドオンのNodeWraglerをONにする
編集のプリファレンスからアドオンをクリックし、Node Wranglerにチェックを入れます。
3.3 タイツの編み目を作る
まずタイツの編み目を作っていきます。
編み目は波テクスチャを二つ重ねて表現しています。Shift+Aのテクスチャから波テクスチャを2つ作ってください。
つぎに波テクスチャをクリックした状態でctrl+Tを押すと、NodeWranglerがONになっていればテクスチャ座標とマッピングが生成されます。
これを以下のように変更します。UV座標は「カメラ」を使います。(UV展開が上手くできている場合はUVに繋いでも構いません)。また波テクスチャは片方の拡大縮小のX値をマイナスにしておきます。そうすることで斜めに直行したテクスチャが作れます。次にCtrl+Shiftを押しながら右クリックで2つの波テクスチャをドラッグするとミックスカラーが現れます。プルダウンから乗算を選び係数を100にします。
また編み目の大きさを簡単に変えられるように、入力から値を選択してつないでおきましょう。
次にテクスチャはそのままだと境界がぼけてしまうので、カラーランプを付けておき、赤枠のプルダウンから一定を選択して良い感じにスライドさせて白黒の境界をしっかりだしましょう。
3.4 白部分を抜いて編み目の線だけにする
つぎに白い部分は要らないので透過BSDFで抜きます。具体的には3.3で作ったテクスチャをマスクとして、黒い部分は放射でディフューズなどで色を付けて、白い部分は透過BSDFで抜きます。Eeveeの場合はブレンドモードにアルファブレンドを選択しておいてください。Cyclesの場合はこの設定はないので無視してください。
具体的なノードはこうなります。ミックスシェーダーの係数に先ほど作ったテクスチャを接続し、上には放射を、下には透過BSDFを接続します。こうすることでタイツの編み目だけを取り出すことができました。
3.5 ランガード部分を作る
次にランガード部分を作ります。タイツ上部の濃い部分のことです。まずグラデーションテクスチャを作ります。またCtrl+Tを押して座標を作ります。
このままだと右足と左足でグラデーションが付いているので、座標の回転のZ値を90度に変えると以下のように上下で白黒ができます。後は位置のx値を動かしていい感じの位置にします。
またこのままでは境界がぼやけているのでカラーランプで境界をはっきりさせます。
3.6 編み目とランガード部分を重ねる
ミックスカラーを使って両者のテクスチャを重ねます。乗算を選び係数は100にします。すると以下のように欄ガードと編み目部分が黒くなりました。
白色が透過で抜かれるのでこれでテクスチャは完成です。係数を小さくすると徐々にランガード部分にも編み目が現れます。自由に変更してみて下さい。
3.7 タイツ部分は完成
3.4のようにシェーダーミックスの係数に繋いで、一旦これまでの結果を見てみましょう。このようにタイツ部分は完成しました。後は模様を付けるだけです。
3.8 模様を付ける
模様の付け方は過去記事で紹介したのでこちらをご覧ください。シェーダーの組み方はこうなります。また模様をつけた結果はこのようなります。
3.9 模様の中の空白部分の色を抜く
細かいことですが、このままではシールをペタッと張ったように編み目を無視して模様が付いています。
これはこれで模様が際立って良いのですが、タイツの模様はあくまで編み目の色を変えて表現されているのでノードを少し変えます。もう1つ赤枠のミックスシェーダーを加えて、その係数に3.6で作ったテクスチャを接続します。これで以下の画像のように編み目だけに色を付けることができます。
3.10 完成
以上で完成です。赤枠の値を変えると編み目の細かさを、緑枠のカラーランプでタイツの濃さを、青枠のX値でランガードの位置を、紫枠で模様の色を変えられます。
4. おすすめ書籍
以下の本は私がBlenderを始める際に参考にした本でお勧めです。
5. 最後に
今回はテクスチャノードを使ってタイツの作り方を紹介しました。ノードは癖がありますが使いこなせると非常に強力な気がします。